レーザー治療
当院では、半導体レーザーを導入しています。
メリット
- 出血が少なく、安全な手術が行えます。
- 傷の治りが早く、痛みの少ない手術が行えます。
- 切開することなく椎間板ヘルニアの治療が行えます。
- 癌に対する温熱療法により、QOLの高い治療が行えます。
- 関節炎など、疼痛緩和温熱療法により痛みを和らげます。
- 難治性歯肉炎・口内炎に効果があります。
- 今まで全身麻酔が必要だった体表のイボの切除を局所麻酔のみで摘出が行える可能性があります。
- 体への負担が少ないため、多くの手術で日帰りや短期間での退院が可能です。

レーザー治療の最も特徴的な部分は、生体に対し極めて安全で低侵撃な治療が可能だという点です。また、外科手術にとどまらず、多くの治療への応用が可能です。 以前は皮膚の、いわゆるいぼを摘出する際にも麻酔が必要でしたが、レーザーによる治療では表面に局所麻酔をするだけで摘出が可能となりました。このことは、高齢で麻酔のリスクが高い動物には朗報です。
ペインクリニック

麻酔科目の中でも注目されているペインクリニック。レーザーによる鈍麻は麻酔薬を使用しないので、副作用を気にすることなく行える鈍麻法として、関節炎や ヘルニアなどに対しての治療に応用していきます。レーザーをあてると患部が温かくなるので、ワンちゃんは気持ちよさそうにしています。こうすることで患部 の痛みを和らげてあげることができます。
猫の歯肉炎・口内炎の治療

高齢のネコちゃんの病気で多い物のひとつに歯肉炎・口内炎(歯周病)があります。その原因は、歯垢や歯石の中の細菌によるものです。歯周病が進んでしまう と口臭が増し、歯肉にダメージが加わります。こうなると口の痛みでご飯が食べられなくなり、つらい思いをしてしまいます。 今までは鎮痛剤やステロイドの投薬による治療や、全身麻酔下でのスケーリングを行ってきましたが、どれもネコちゃんの体、しかも高齢なのでかなりの負担が かかってきました。 ところが、このレーザーにより、無麻酔で効果的な治療が行えます。 口を痛くしているネコちゃんの口を開けたり、口内にレーザーを照射するのは嫌がるとお考えかも知れませんが、口唇の上からでもレーザーの熱が口内へ染み渡 るので、そのままリラックスした状態で治療が行えます。
麻酔について
問診 体重測定

年齢や過去の病歴、ヘルスプランによって異常値が過去に認められた場合は、血液検査や胸部レントゲン撮影を行う場合もあります。
点滴

手術に先立ち人間と同じやわらかいポリエチレンの留置針を腕の血管に入れ(暴れても突き抜けることはありません)、点滴を始めます。「ラインの確保」といい 必要な薬を血管に投与するときに使います。「ラインの確保」をしておくと、万が一何かあったときにすぐに血管に薬が注射できます。呼吸が止まってから留置 針を入れるんじゃ時間がかかりすぎて手遅れになってしまいます。
前投薬
麻酔が効きやすいように鎮静剤をうちます。この時術後の痛みを抑えるため鎮痛剤もうちます。
麻酔導入薬
先ほど留置した点滴のラインから短い時間だけ効く麻酔薬を入れます。これで痛みや反射がなくなります。
気管チューブ挿管

人間と同じように気管にチューブを入れます。これで動物が呼吸をすることで少しずつ麻酔薬が体の中へ入っていきます。自分の呼吸で吸うと麻酔薬が入り、はく と麻酔薬が体の外に出て行きますので麻酔を切るとどんどん麻酔薬をはいてゆくので短時間で麻酔から覚めます。つまり、麻酔の調節がしやすいということです。
生態監視モニターの設置

心電図、呼吸、麻酔濃度などを監視するモニターを設置します。これで問題が起こる前に異常に気がつき、対応ができるようになります。
手術 覚醒(麻酔から覚めること)

手術が終わったら、酸素濃度、湿度、温度を一定にしたICUケージに入れ、麻酔から完全に覚めるのを待ちます。
膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
写真と図を比べながらお読みください。
膝の関節は太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)の間の関節で、膝の靭帯(膝蓋靭帯)で固定され、膝のお皿(膝蓋骨)は膝の靭帯(膝蓋靭帯)の裏側に くっ付いていて(写真3)、屈伸時に太ももの骨(大腿骨)の先端の溝(滑車溝)に入り滑るように移動します。(図1.写真1.2.)
膝関節(膝蓋骨脱臼模式図)


膝蓋骨脱臼を起こす原因
膝蓋骨脱臼とは、膝のお皿(膝蓋骨)が外れる病気です。
犬は元々すねの骨(脛骨)が回転しやすいという解剖学的性質を持って生まれてきます。正常でも、膝の関節を曲げるとすねの骨(脛骨】は必ず内側に回転しま す。特に小型犬は、膝の骨がはまる部分である溝(滑車溝)が浅く、それを支える靭帯が薄いのです。犬の膝のお皿(膝蓋骨)は生来、不安定なものなのです。
成長期にすねの骨(脛骨】が過度に回転することなく、膝の靭帯(膝蓋靭帯)が真っ直ぐなラインを保っていれば、滑車溝は膝を曲げ伸ばしする際に膝のお皿 (膝蓋骨)との接地面でしっかり作られていき、靭帯も緩むことはありません。しかし、すねの骨(脛骨)が内転すると、膝のお皿(膝蓋骨)は滑車溝から外れ たり、入ったりを繰り返し溝は浅いまま形成されず、特に内側の壁(内側滑車稜)が低くなり、靭帯も徐々に緩んでいき、結果、すねの骨の内側への回転に伴っ て膝のお皿(膝蓋骨)も内側へ外れるという現象が起こるのです。(写真4.5.6)



人間を含め動物の肢は、曲げるときに少なからずすねの骨(脛骨】が内側に回転しますが、この内転が大きいと膝の靭帯(膝蓋靭帯)が内側に引っ張られ、膝のお皿(膝蓋骨)が脱臼してしまうのです。
私は自転車が好きなのでいろんな自転車のカタログを見るのですが有名な自転車メーカー「スペシャライズド」の靴のカタログにこんな掲載がありました。「自転車は肢の屈伸によりペダルを回すので、専用の靴は口底の内側(土踏まず側)を高くし過度にすねの骨が内転せず、効率よく力を伝え、肢を守るよう設計され ています。」
膝蓋骨脱臼と関節炎
この様に、膝は大きな力に耐えられるように、側副靭帯、十字靭帯、半月板などさまざまなサポーターを有して構成された精密機械です。その一つが膝蓋靭帯です。
膝のお皿(膝蓋骨)が脱臼すると写真(3.4.5)のように、すねの骨(脛骨】は内側に回転し、肢のかかとが外側を向くようになり、当然膝はねじれ状態が つづき、大きな力や回転がさらに加わると膝の関節内の十字靭帯(スケートの高橋選手が痛めた靭帯)や半月板(膝関節内のクッション)にとても無理な力がか かってきます。やがて、半月板や十字靭帯の損傷を起こし、関節炎に陥り痛みが現れてきます。
膝蓋骨脱臼のグレード
グレード1 人の手で膝蓋骨を脱臼させることができますが(正常であれば、普通は外すことはできません)、普段の運動時に自然に脱臼することはほとんどありません。
関節の曲げ伸ばしに影響はありません。 グレード2 膝関節を曲げたときに自然に外れることがあります。多くは膝関節を伸ばせば、自然に元に戻ります。太ももの骨の軽度変形を認めることがあります。 グレード3 膝蓋骨はほぼ内側に脱臼したままの状態です。膝関節を伸ばした状態で、人の手で元の位置に戻すことはできますが、その後曲げ伸ばしによって再度自然に外れてしまいます。
太ももの筋肉が内側に変位しています。太ももの骨の変形や膝関節の組織の異常が生じることがあります。 グレード4 膝蓋骨は脱臼したままであり、人の手で元の位置に戻すことはできません。
太ももの筋肉が内側に変位し、太ももやすねの骨の変形、膝関節組織の異常が著明です。
膝蓋骨脱臼の兆候
- 運動していてキャンと鳴いてビッコを引く
- 後ろから見ると肢のかかとが外側の向いている (写真5.6)
- 抱き上げるとき膝がこきこき鳴る
- 腰を落として歩く
- ロボットのような歩き方をする
成長期の脱臼は適切な処置でまだ何とかなるかもしれません。ただし、誤った屈伸運動は危険です。成長期を過ぎて グレード2以上なら手術も考えなくてはいけません。
手術
従来の、ただ膝のお皿(膝蓋骨)を脱臼させない手術では、すねの骨(脛骨)の内側への回転を矯正しきれず、再脱臼したり長年の間に半月板にむりがかかって 問題が起こることがありました。当院の手術は脱臼を修復するだけでなく、すねの骨(脛骨)の内側への回転も矯正することでこのような問題はなくなりまし た。
手術後は消炎鎮痛剤を投与し、2日目からレーザー照射と軽い屈伸運動を行っていきます。1週間後の退院時には、ほとんどの子が肢をついて歩いています。



